ミラノで安くていいアパートを探す方法

Metodo per cercare un buon appartamento a Milano

この不景気風の吹くミラノで、外国人がイタリア人を相手に限られた時間とお金を使って、いかに安くていいアパートを見つけ、交渉し、契約にこぎ付け引越しにまで至るか。その方法はレポートにまとめて売ってもいいくらいの成果をもたらした と思う。

そこで思いつくままに記しておくことにする。

家賃は記されている値段プラスアルファ

アパート探しは今日では様々な不動産サイトを見て当たりをつけるのがいいだろう。写真も付いているし場所もすぐ分かるようになっている。たいていの情報は書いてあるので便利である。しかし当然都合の悪いことは記されていない。これを実際に見に行って見つけ出すことが重要なのだ。さらに大きく記された家賃の値段だけにごまかされてはいけない。 たいていは家賃の値段以外に必ずどこかに小さくSpeseつまり維持費が記されているので、その値段を足したものが毎月支払う本当の額になる。おお~500€と思ってよく見ると、維持費が250€なんてのもあって足したら月750€じゃないのさ!予算オーバー。ということもしばしばであった。 理想的なアパートの条件 人はそれぞれ自分の理想のアパートの条件を持っているものだろう。近くに地下鉄の駅が通っていないと困るとか ナビリオ運河付近に住みたいとか。家具は全てアンティークがいいとか 子供部屋が必要とか 皿洗い機がなければ嫌だとか。 私はアパート探しの条件として自分にとって理想とされるものを書き出しておいた。

  • 家賃500€前後 維持費をいれて550€まで

  • お風呂場にバスタブと窓がある

  • ガス湯沸かし器がある

  • ガスレンジとオーブン付きの台所と洗濯機がある

  • 何でも入る大きめな箪笥と必要最小限のこぎれいな家具がある

  • 周辺に活気があり交通の便がよく、出ればすぐ食べ物が買える

  • プライバシーや安全が確保できる

  • ある程度の広さがあるか天井が高め

  • 日が当たるかバルコニーがある

  • 電気ガスは新たに開ける必要がない

  • 不動産なし もしくは良心的な不動産でまともな契約が出来る

  • 敷金が家賃3ヶ月ではなくて2ヶ月になる

  • 大家がいい人

  • 風水的に間取りがせめて凶でない

などである。私が挙げている条件はどちらかといえばベーシックで特に理想が高いわけではない。がしかし現実は厳しかった。私の予算では上記の条件を半分も満たさない物件が殆んどで、驚くことに安価な家=ガス湯沸かし器がない家が大半だったのだ。ではいったい何で湯を沸かすのか? 日本に存在するかは知らないが、イタリアの大抵の古い家には お風呂場上部に大小のタンクがぶら下がっており、その中で電気によってお湯が沸かされ溜められる。それをお風呂なり皿洗いなどに使う仕組みになっている。当然のことながらタンクが小さければお湯はすぐなくなり、次に湧き上がるまで数時間待たなければならないという恐ろしい代物である。(冬に風呂に入っていて湯が急に水になったことがあるか)また気をつけないと莫大な電気代が掛かるのだ。私が初めてミラノで住んだ家にはこれがあった。大きなアパートだったので3~4人で共同生活していたが、毎月結構な電気代が来るので驚いた記憶がある。バスタブがあったので当然お風呂に入ったものだが、その後お湯がなくなって他の住人に文句を言われたりもした。 タンクが古いともっと恐ろしいことが起こる。ある日、天井から爆弾がが落ちてきたようなものすごい音がしたので駆けつけると、真っ白なカルカーレ(石灰*)の塊がバスタブを埋め尽くしていた。タンクの中に長年蓄積されたカルカーレは、いつしか白いブロックとなり、その重さに耐えられなくなっタンクの底が抜け落ちたのだ。幸いだったのはその時真下でシャワーを浴びている者がいなかったことだ。その光景はさながらバスタブに浮かぶミニ氷河のような有様でシュールであった。あれを見て以来、私は2度と電気湯沸かし器のアパートには住むまいと心に誓ったものだ。 話が逸れたが、私は今のアパートが気に入っていてかれこれ12年以上住んでいる。唯一の欠点はバスタブがなくてシャワーのみなことだった。これは風呂好きの日本人としては辛いものがあった。が、人間慣れである。私は、自室からビワの木が見えるこのアパートを本当に愛していた。そしてこのアパートは上記の条件を殆んどクリアーしているので、この住み慣れた我が家を出るからには絶対バスタブ付きのアパートを見つけようと心に決めたのだった。

・・・つづく

2014年5月筆

*ミラノの水道水は硬質でカルシュウム分が多い

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