Marble Surface

裏景 ​Japanese only blog

​永吉景 在イタブログ・アングラエッセイ集

これは人生の半分をイタリアで生活していた作家が書き留めていた個人的な記録であり随筆集である。 

あまり知られていないイタリアの一面を作家のフィルターを通して覗くことができる。そして様々な先入観から解放され、別の視点で世界を見るきっかけを作るかもしれない。 

もはや編集する時間が無いため、ざっくばらんに羅列した。
 

 

作家は長年イタリアに住んでいるため正確な日本語に支障がありますが、ご了承ください。

トリエステノート

イタリアで俗に言うアメリカ式キッチン(カウンターと高めの椅子があるからそう呼ばれる)に座ってアンナ・マリアの切れ目の無い話をぼんやり聞いていると、突然ヴオーという広音で私たちの内臓まで届く深い汽笛が鳴り響き、見えない戸棚の中に並ぶガラスコップが振動でチリチリと音をたてた。...

イタリアの冗談は笑えない

イタリアの冗談に笑えない。 イタリア語が堪能でなかった頃は、単に言語的な問題かと思われた。母国語以外の言語を、勉強や移住などで苦学習得した者にしか分からないと思うが、レベルが高くなっていく時点で 政治的議論や医学に関する内容などよりもさらに理解するのが難しいのは、冗談や詩と...

ジャン・ジュネについて

私は 彼のことをすっかり忘れていた。 15歳で少年院から脱走し、乞食、泥棒、男娼をしながらヨーロッパ各地を放浪し、刑務所を転々としていた彼は、そのほとんどの作品を刑務所内で書いている。彼の語りを反芻するたびに、その細部を観察する視線や信じがたい比喩の使い方、その大胆で繊細な...

イタリアが私を創ってくれた

イタリアにいることについて。 わたしは日本で生まれたが、それは私が選択したことではない。 しかしイタリアに来たのはわたしの選択だった。 とは言え、もともと移住する場所がイタリアでなければいけない理由など、私には無かった。当時ヨーロッパへのあこがれはあったが、ある意味でフラン...

ミラノで安くていいアパートを探す方法

Metodo per cercare un buon appartamento a Milano この不景気風の吹くミラノで、外国人がイタリア人を相手に限られた時間とお金を使って、いかに安くていいアパートを見つけ、交渉し、契約にこぎ付け引越しにまで至るか。その方法はレポート...

今日は4日金曜日。今週は最近やっている仕事、倉庫からの呼び出しはなかった。5日には家賃として600€振り込まなければならないが、銀行には604€しか残っていない。追い討ちをかけるように50€のガス代請求書が来た。電気代のそれと併せると計3通の請求書トータル180€ほどの滞納...

パンツァネッラ

パンツァネッラという食べ物がある。トスカーナ料理の一種だが、簡単に言うと貧乏人の食べ物である。いや、貧乏くさい気分を味わう食べ物といったほうが適切か。初めて見たとき、本当に驚いた記憶がある。 かれこれ20年近く前だろうか。フィレンツェに住み始めたころである。同居人にフィオレ...

ただ純粋であれ

私が血迷って何にでも手を出したと人は思うだろうか? 今思えばすべて自然に行われていった。毎回自分の信ずるところに向かって歩いた。 詩を書くから詩人なのではなく 詩人が書くのが詩なのであった この説から借りるとすれば、 私がやることが私なのであった。...